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オレゴン州バイオマス産業

画像バイオマスは木々や農作物、その他生きた植物性素材の有機物質で、成長過程にある植物生体内で生成される炭水化物-有機化合物で構成されています。かつてこの地域に最初に住み始めた人々が暖を取るために木を燃やして以来、バイオマスはオレゴン州を含む米国太平洋岸北西部地域に暮らす人々のニーズを満たすエネルギー源となってきました。
バイオマスは有機物質内に蓄えられた太陽エネルギーです。木々や植物の成長がそうであるように、光合成の過程で太陽からのエネルギーを使って二酸化炭素を炭水化物(砂糖、でんぷん、繊維素)に変換します。炭水化物はバイオマスを構成する有機化合物です。植物が枯れると腐敗過程において炭水化物に蓄積されていた太陽エネルギーが放出され、大気中に二酸化炭素が戻されます。新たな植物や木々の成長は補給効果があるのでバイオマスは再生可能エネルギーの供給源となります。
地球の自然作用は数百万年を超える時をかけて、有機物質を今日の化石燃料、つまり石炭・石油・天然ガスなどに変換させました。化石燃料は再生可能エネルギーではありません。人々が今日使用している石炭・石油・天然ガスは生き残ることができないのです。
エネルギーとしてのバイオマス利用は大気中に二酸化炭素の純増加を引き起こすことはありません。木々や植物の成長過程同様、バイオマスは光合成を利用して大気中の炭素を取り除きます。新しいバイオマスの成長量がエネルギー利用されたバイオマスと平衡を保つ場合、生物燃料エネルギー(バイオエネルギー)は二酸化炭素“ニュートラル”状態となります。つまり、バイオマスのエネルギー利用は二酸化炭素の排出量を増加させることはなく、地球的規模の気候変化というリスクにさらされることもありません。また、エネルギーを生み出すためのバイオマス利用は、環境リスクを引き起こす可能性のある廃棄物の処分に効果的なのです。
バイオマスは米国で消費されている全エネルギー供給源の3%を賄っています。また、2002年に米国で消費された全再生可能エネルギーの約47%はバイオマス供給によるものでした。バイオマス発電は、(都市固形廃棄物を除く)再生可能資源から生み出された米国における総発電量の約11%を賄っています。実際、バイオマスは2002年、水力発電を含め他のどの再生可能エネルギー形態より多くのエネルギーを供給しました。バイオマスによるエネルギー供給量は、地熱・太陽光・風力各エネルギー源を合わせた量のほぼ6倍となりました。地球規模で見ても、バイオマスは世界のエネルギー総需要の約14%を満たしており、木質バイオマスペレットの生産量は、2014年約2,300万トンであるのに対し、2024年には5,000万トンにもなると言われています。

米エネルギー省は、2003年にオレゴン州で消費されたバイオマス燃料の総エネルギー値は79兆Btuとなったと推定しています。これは米国で消費される非輸送エネルギー総量の約10%に相当します。オレゴン州の全工業エネルギー消費量の約9%をバイオマスが賄っています。
すべてのバイオマス燃料を生み出しているのが生きた植物性素材です。バイオマス燃料資源の一部は、植物性素材が他の目的で使用された、あるいは動物によって消費された結果生まれた老廃物となります。その他のバイオマス資源はエネルギー値を目的に直接収穫される植物性素材です。オレゴン州のバイオマス資源には木材、農作物残渣、有機性廃棄物が含まれます。
毎年1000兆Btuものバイオマス燃料が米国太平洋岸北西部地域で生み出されています。しかし、競合使用や回収・輸送費用がエネルギー生産に使われる総量を制限する要因となっています。毎年生み出される総バイオマス燃料のわずか三分の一でこの地域全体の電力生産を経済的に賄っています。
工業プロセス用および住宅・商業地区用の暖房熱生産がオレゴン州最大のバイオマス燃料消費源となっています。木材製品関連産業は木片や木くずを燃焼して工業プロセス用の熱供給を行っています。一部の製材所は現地・自社使用の電力生産にバイオマス燃料を使っています。パルプ工場は使用済みパルプ化濃縮溶液のリグニン構成材と残存繊維を燃やすことで、パルプ化化学物質を再生・再利用して蒸気を発生させます。オレゴンで製造された燃料用木材やペレットおよびオレゴンの森林で収穫された薪は住宅の暖房用として供給されています。

州政府の支援が支える北東部オレゴン・バイオマス・キャンパス オレゴン州ワロワ

画像オレゴン州北東部ワロワにあるかつての製材所跡地を利用し、現地で収穫した半径の小さな木材を利用し再生可能エネルギーを生み出すバイオマス・キャンパスに転換する州政府支援プロジェクトは、成功裏に成果を上げています。
地元ワロワの出資による小規模バイオマス事業を展開する有限責任会社インテグレーテッド・ビジネス・リソーセズLLCは、2013年夏の終わり頃、設備投資および14の新規雇用創出資金として375万ドルを計上したと発表しました。
ビジネス・オレゴン(オレゴン州経済開発局)は米エネルギー省および州エネルギー局との共同で、旧ベイツ・ミル跡地にバイオマス・キャンパスを建設するワロワ郡の開発事業を支援するため、戦略的リザーブ・ファンド(SRF)を使い、合わせて3つの投資プロジェクトを立ち上げました。SRF10万ドルの返済免除条件付き融資により郡は2012年、製材所を閉鎖した2007年から空地となっていた産業用地を買収しました。一方、ビジネス・オレゴンも2012年6月、同社の木材加工機の購入資金として4万5,000ドルの返済免除条件付き融資を行いました。
かつてワロワ・フォレスト・プロダクツ社が所有していた28ヘクタールほどの土地でのバイオマス・キャンパスの開発と拡張が認められました。ワロワ郡は連邦政府の充当金50万ドルと2009年米国再生・再投資法(景気刺激法)に基づく27万5,000ドルを受け取りました。インテグレーテッド・ビジネス・リソーセズLLCの所在地はこの跡地に近く、バイオマス・キャンパスの発電所に原材料を供給しています。
その施設は地元のさまざまな樹種と大きさの異なる丸太材を使い、暖房用燃料や薪、柱、造園用木材などの製造を予定しています。100キロワットの熱・電力融合のバイオマス施設は、キャンパスから出る絶え間ない廃棄物の流れを利用して、このバイオマス・キャンパスで使用するための再生可能で燃焼による大気汚染を抑えた、費用対効果の高い熱・電力を使うことにより、ほぼ100%に近い現地材料効率の達成が見込まれています。