コンテンポラリー調のバスルームに使われたペンキ仕立てのポンデローサの羽目板パネリングとケースメント・ウィンドウ。

ポンデローサ・パイン/Ponderosa Pine
ポンデローサ・パインは高さ50メートル以上、直径0.9から2.4メートルに育ち、生育地域はアメリカ国土の1,100万ヘクタールにも及んでいます。ポンデローサの成木は、大きくひび割れた茶褐色の樹皮によって、多種のパインから区別することができます。針葉は密集して生え、先端は3本に分かれています。
ポンデローサ・パインは、ウェスタン・ホワイト・パインと呼ばれる樹種群に属し、樹脂の香りと明るい色が特徴です。商業的にも価値の高いウェスタン・ホワイト・パインは、木製ウィンドウ、モールディング、木工品、家具、棚、パネルの主要材料として世界中で広く利用されており、ポンデローサ・パインは、引き出し、窓、よろい戸、階段など接合を要する製品に適し、軽度から中程度の強度で、切削面に棘やささくれを生じない安全性を求める用途に向いています。
アメリカの樹木では、ウェスタン・ホワイト・パインと南部産のイエロー・パインは顕著に異なります。サザン・イエロー・パインはより木目が粗く、重いため、構造材として広く用いられています。また一般に、ディメンション・ティンバーのサイズで用いられ、短期ローテーションで伐採されています。ウェスタン・パインは、木目の美しさで有名です。管理された森林で自然生育され、長期ローテーションで択伐されます。大きめの成木からはクリームがかった白色、または黄色味を帯びた白太の材木が大量に産出され、節は比較的少ない上に間隔を置いて分散しています。芯材も量が少なく、通常は明るい赤茶色です。木肌は柔らかく、木目はまっすぐで密度が高く均質なものが典型的で、仕上げ後の繊細な外観を作り上げます。これらのパイン種では、ポンデローサが最も産出量に優れ、広く利用されています。
生育地域
ポンデローサ・パインの生育地域範囲は、カナダからメキシコ、そして太平洋沿岸から東はサウスダコタのブラックヒルズまで、アメリカ全土の35%以上を占めています。この樹木は、ジュニパーやセージに囲まれたやや乾燥した高原や斜面で豊富に産出され、生育状態は高度、土質、気温、雨量などによって異なります。
ポンデローサ・パインは、そのほとんどが成木になり、腐敗や虫害、山火事や風などの自然災害によるダメージを受けるまでの平均寿命は約125年間ですが、中には200年生き延びるものもあります。ポンデローサ・パインの林は、皆伐ではなく択伐されます。択伐とは成木のみを伐採し、それ以外は繁殖と生育のために残す方法です。
オレゴン、カリフォルニア、ワシントンの3州が年間産出量の大半を占めています。

加工 - 乾燥
仕上がりの均質性を保つため、ポンデローサ・パインは必ずプレーナー掛けの前に乾燥させます。温度及び湿度制御付きの乾燥窯を利用、または自然乾燥で、理想的な含水率である12%から19%になるまで乾燥させます。
他のパイン種と同様に、伐採直後や乾燥前の生木の状態で暖かくなりすぎると、青いシミが出ることがあります。このシミは木材の強度に影響を与えることはなく、等級の低い木材では認容されています。ペンキを塗って隠したり、透明に仕上げて逆に目立たせたり、利用者の好みに応じて様々な対応が可能です。
輸送
ポンデローサ・パインは通常、他の樹種と混合されずに製材、輸送され、ポンデローサ・パインという樹種で特定されて市場に出ていますが、時には似通った特徴を持つシュガー・パインやロッジポール・パインと混合されることもあります。
また、イングルマン・スプルース、ツルー・ファーズ(アビーズ種)、ヘムロックなどや他のウェスタン・パインと混合されて、「ホワイト・ウッズ」という商品名でも販売されています。

防腐加工されたポンデローサのデッキ。
物理的および力学的特性
“特性の比較”ページ参照。
等級付けと品質管理
等級付け
ポンデローサ・パインやその他のソフトウッドの品質は、製材等級格付基準により、製材所の違いに関わらず一貫したものとなっています。ポンデローサ・パインの主な産地である西部の12州において、ほとんどのパイン材は、ウェスタン・ウッド・プロダクト・アソシエーション(WWPA)公認検査官の監視のもとで等級付けがなされます。同組織は、米国商務省傘下の米国木材基準委員会(American Lumber Standard Committee, lnc.)認定の等級付け及び品質管理機関です。最も多く生産されている等級はセレクト級、コモン級、そして再加工用のファクトリー&ショップ級です。バイヤーとの交渉次第で、特別等級を注文することも可能です。
外観による等級
ポンデローサ・パイン材は、主に外観に基づいて等級付けされ、様々に応用されています。WWPAのウェスタン・ランバー等級基準下では、セレクト級(無節またはほとんど無節)は3つの等級、コモン級(様々な種類の節や、他の特徴が認容される一般使用向け製品)は5つの等級に分かれています。またWWPA会員の製材所の多くは、ウェスト・コースト・ランバー・インスペクション・ビューロー(WCLIB)制定基準にも従っています。これらの等級基準では、節の数、サイズ、タイプや他の特徴に基づき、板材で5つの等級が設けられています。
構造上の等級
ポンデローサ・パインの構造上の等級は、軽度から中程度の強度が必要とされる場合に使われます。防腐加工が施された2×4と2×6サイズは、屋外デッキ建築の際、地中または地上用素材として特に人気があります。
再製材用の等級
ファクトリー&ショップ級の木材は、家具、ドア、窓、鎧戸などに再加工されるために利用されます。この等級の木材には、樹脂ややにつぼがほとんど皆無で、均質な木目を持ち、寸法の変化が少ないものが選ばれます。これは製材所の裁断サイズを基に作られた等級で、木材を縦挽き及び横挽きすることにより、標準サイズでクリアな製材が何枚取れるかによって定義されます。この等級の製品は、業界ではよく「経済的クリア」と呼ばれており、無節で様々なサイズが要求される多くの製品において世界中で利用されています。

応接間:ドア、窓、モールディング、パネリング、軒下天井、鼻隠しにポンデローサ・パインが使用されています。木材の自然の色や特性を活かすために透明な仕上がりが施されています。

出窓:加工のしやすさ、外観の良さ、優れた性能といった理由から、ポンデローサ・パインは木製窓製造業者から好まれています。窓には通常、ファクトリー&ショップ級が使用されます。

キッチン:ポンデローサのキャビネットとフローリング。ロッジポール・パインの円柱。
特徴と最適な利用法
ポンデローサ・パインは、製材や鉋がけの直後には松林の芳香を発します。大きめの木は赤褐色の芯材の部分が小さく、蜂蜜色や麦わら色の白太の部分が特に大きくなっています。この木材は、軽度から中程度の強度で、割れ、節、樹脂などの望ましくない特徴が少ない木材が必要とされる場合に適しています。
ポンデローサ・パインは、モールディング、扉、窓、枠、引出しなど、動きに対する耐久性が必須要素となる箇所で重宝されます。また摩擦や衝撃、きしみによって裂けることがないので、上記の用途以外にもサッシや廻りぶち、鎧戸、日除け、円柱、階段、鼻隠しなどに最も適した素材とされています。その他、接着剤使用の容易さでも上位25%以内にランクされており、接着剤を利用した加工が必要とされるあらゆる製品に使用されています。
寸法の安定性
どの木材でも環境によって水分の含有量が変化するため、多少の縮みや膨張は避けられません。しかしポンデローサは細胞構造が均-なので、他のソフトウッドに比べて縮みが少なくなっています。乾燥後も割れ、そり、曲がりが最小限で、木目が目立つことも稀です。まっすぐで均質な木目を持ち、他に例がないほどなめらかに仕上がります。いったん乾燥させた後は、湿度の変化による影響を受けることが比較的少なく、極めて加工しやすい木材なので、正確な木組みが必要な場合に高く評価されています。
住宅建築
ポンデローサ・パインは、軽量構造、間隔のあいた野地板、床や屋上デッキなどに適しています。防腐加工も容易なので、デッキやその他の屋外用に優れた素材です。強度の面では、より重く目の詰まった他のソフトウッドに比べると多少劣りますが、寸法上の安定性と強度、加工しやすさがあいまって、根太、間柱、たるき、プレート、軒下天井など、ほとんどの軽量構造に応用できます。また、釘を打ち込んでも裂けることが少ないため、大きな釘を使用することができ、釘による保持力も高くなります。
材木店やホームセンターなどの従来の流通販路では、通常相当量のポンデローサ・パイン製品の在庫が用意されています。ポンデローサ製品は素人でもプロでも、家の補修、パネリング、デッキ、改装、改築、増築など様々な用途で利用することができます。
パネリング
パイン材のパネリングは、キッチン、居間、小部屋、寝室などでカントリー調のインテリアによく用いられますが、新しい仕上げ技術やパターンによっては、コンテンポラリー調やトラディショナルなインテリアにも合わせることができます。ポンデローサ・パインには、クリアなもの(セレクト級)や節のあるもの(コモン級、ボード級)など、多様なパネリング・パターンが揃っています。パターン付きパネルの等級は通常、等級名が1xで始まる素材に反映されています。
パターンの多くは裏返しでも使用でき、模様のある面と裏面のどちらかが選べるようになっています。ただし、パネリング材の等級付けが模様のある表面を対象に行われるということは重要な点です。裏面は往々にして木材の等級としては劣るものの、独特のデザイン効果を狙う場合にはかえって好まれるといった特徴を持っています。
ほとんどの材木店では限られた種類のパネリング材のみを取り扱っていますが、標準パターンならどれでも特別注文が可能です。中にはカスタムメイドでユ二-クなパターンの注文を受け付ける店もあります。
木工と家具
最高のパネリング材であるポンデローサは、その特徴により家具をはじめ、作り付け本棚、ベンチ、カップボード、机、キッチン、キャビネットなどの建築木工品にも最適な素材です。セレクト級、コモン級、ボード級またはファクトリー&ショップ級など、目的に合わせて広く利用できます。
ポンデローサ・パインは、きめが均質で、やにつぼがほとんど無く、裂けにくいという点で、家具職人や木工職人に高く評価されています。仕上がった部材は、締め付けなくても楽に組み合わせることができます。材木は手作業でも機械でも扱いやすく、すぐにモールディングやキャビネットに使用することができます。
アンティーク家具、古いパイン材または新しいパイン材を使った新品家具など、ここ数年、パイン製家具の人気が再び高まっています。蜂蜜色のパインはどのようなデザインにも自然にマッチするほか、シンプルな漂白パインをコンテンポラリー調の家具に利用する傾向がますます高まっています。ポンデローサ・パインの家具には、仕上げ塗り済みのものと仕上げ塗り無しのものがあり、デザインや品質も様々なものが出回っています。

ポンデローサは、ペンキ仕上げ、ステイン仕上げ、透明仕上げなどを使い分けて、あらゆるテイストのインテリアに適用できます。
仕上げ塗り
ポンデローサ・パインは、ペンキ、ステイン、ラッカー、ニスなど、これらのいずれを使っても美しく仕上がります。ある種のもっと重い木材に見られるように、ペンキやステインが木目を目立たせることはありません。ただし、仕上げ後の表面が変色したりしないように、節はあらかじめシールしてください。

ランドリールーム:漂白ステインが、キャビネットのポンデローサ板の「ブルー・ステイン」を際立たせます。

デッキ:防腐剤加工を施したポンデローサ・パインは、無加工でも耐久性の高い種類の木材に代わる、安全で経済的な素材として、屋外での用途に多く用いられています。
屋外用の加工製品
防腐加工されたポンデローサ・パインは、米国西部や中西部北方の地域並びに海外でよく利用されています。フェンス、プランター、収納庫、遊具、デッキ、ベランダの手すり、ペンチなど、屋外用に使われます。白太の細胞には防腐剤が深く均等に浸透するので、白太の豊富なポンデローサは加圧注入に適しています。ポンデローサ・パインは地上用にも地中用にも加工することができ、また、他のソフトウッドと異なり、インサイジングしなくても地中用に加圧加工することができます。加工された製品は保存がきくため、卸業者や材木商にとって扱いやすくなっています。
標準サイズに加え、ポンデローサ・パインには、端が丸く加工されているWWPAデッキング級パティオIとパティオIIの2種があります。これらは、デッキ用の防腐加工済み素材として特別に製材されたものです。これらの製品は乾燥仕上げされて、厚さ25または29ミリメートルx幅140ミリメートル、丸い端は6.4ミリメートルの仕様です。アメリカの防腐加工済み木材には必ず、業界基準をクリアしていることを証明するアメリカン・ランバー・スタンダード委員会(ALSC)公認のエージェンシーによる品質管理マークが付いています。防腐加工製品にある品質管理マーク、スタンプ、タグにあるALSC公認を示すCheck Markを確認してください。米国西部での公認エージェンシーと商標は次の通りです:
ALSC・米国西部の認定工一ジェンシー

Bode Inspection

Timber Products Inspection

Canadian Softwood
Inspection, Inc.

California Lumber
Inspection Service

McCutchan Inspection Services
※アメリカン・ランバー・スタンダード委員会は、防腐加工済み木材を点検する第三者エージェンシーを監視・認定する役目を担っています。
乾燥した木材のみが防腐加工されます。加工後は、最終使用場所に設置される前に、木材の含水率が周囲の湿度に合うようにしておく必要があります。水溶性の防腐剤は表面を清潔にドライに保ち、嫌な匂いもないので、すぐにペンキやステインを塗ることができます。
なお、防腐加工基準と関連建築基準は、国、地域、都市によって異なります。
防腐加工製品の品質マークの解釈
- ALSC認定エージェンシーの商標
- 使用した防腐剤名
- AWPA基準
- 薬剤保持指数
- 加工会社名
- 工場所在地
- 適切な環境条件