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Western Hem-Fir

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ウェスタン・ヘムファー

ウェスタン・ヘムファー/Western Hem-Fir

ウェスタン・ヘムファーの樹種の組み合わせ

画像ヘム/ファーはウェスタン・ヘムロック(ツガ・ヘテロフィラ)と5種類のもみ類、カリフォルニア・レッド・ファー(アビース・マグニフィカ)、グランド・ファー(アビース・グランディス)、ノーブル・ファー(アビース・プロチェーラ)、パシフィック・シルヴァー・ファー(アビース・アマビリス)、ホワイト・ファー(アビース・コンコロール)の組み合わせです。立ち木の状態では明白に識別できますが、これら針葉樹から産出される木材はすべて、明るい色調の美しい木目という特性を共有しています。また、構造的パフォーマンスが類似しているという、力学的に最も重要な共通点があります。在庫管理を単純化し、設計時の製品仕様書の作成を用意にするため、これらの樹種は1つのグループとして市場に出ています。
ヘム/ファーは米国西部地域で生産される木材の約22%を占め、その豊富さ、生産量、強度、そして多様な使用目的に適する点では、ダグラス・ファーに次ぐ樹種となっています。

生育地域

画像ヘム/ファーの樹種はアラスカのケナイ半島からカリフォルニアの北西部に至る太平洋沿岸で、樹種の混在した土地で生育します。また内陸部でも、アメリカとカナダの国境にそって、東はモンタナ北西部まで散らばった形で生育しています。霧と雨が多い海沿いの地域とオレゴン、ワシントン、ブリティッシュ・コロンビアのカスケード山脈の西側斜面が、一番大きな生育地です。
西部地域の森林部の半分以上は法的、行政的、司法的決定により、伐採から保護されています。これらの地域は森林の様々な価値を永久に保存するべく、公園、風致保存地区、自然保護地区、野生動物保護地区として保護されています。商業用木材を産出する土地はすべて、伐採、森林管理法、森林再生の義務、野生動物、流域、土壌および生物学的多様性の保護に関連して地域および州の厳格な法により管理されています。

特徴、主な用途、等級

ヘム/ファーはその強度と美しさを完璧に組み合わせたもので、針葉樹種の組み合わせの中では最も優美かつ用途の多い木材と評価されています。その木材は、ほとんど白色といってよいクリーム色がかったものから薄い麦わら色まで様々です。西部のパインの色と同じ程度あるいはそれ以上の薄い色となることが多く、芯材と辺材の間にはほとんど色の変化はありません。ヘム/ファーは強度と薄色を求める人々に最も望ましい木材です。ウェスタン・ヘムロックは時に節の部分や春材、夏材の年輪が変化する部分に薄紫がかっていることもあります。さらに、魅力的で繊細な濃い灰色、または黒い筋が見られることがあります。
主な用途としてヘム/ファーはモールディング、表し天井、ドア、ルーバー、窓、家具、床、構造用ならびに非構造用集成材などの精密な機械加工、薄い色、優れた接着性を要する建具、そして枠組材および構造計算されたシステムとしての構造材として使用されます。ウェスタン・ヘムロックは枠組材や建築部材、内部建具に利用される他、モールディング、木工品、パネリングにも好んで使用されます。
また、米国の針葉樹木材は基本的に3種類の用途に分類されますが、ヘム/ファー製品はその3種類のすべてで等級づけが行われます。

  • 構造枠組(ストラクチュラル・フレーミング)製品 -
    強度と物理的特性によって機械的または視覚的に等級づけされます。(特に指定がない限り、外見は重要視されません。)
  • 化粧材(アピアランス)製品組 -
    非構造的な用途に使用される製品を、美しく洗練させたものから実用的なものに至るまで、美学的な質によって等級づけをしたものです。
  • 工業用および再加工用(インダストリアル・アンド・リマニュファクチャリング)製品 -
    種々の構造的、非構造的等級を含み、その中でも最も生産量の大きいヘム/ファーは、工場や再加工場で再製材されるので「ファクトリー・アンド・ショップ」級と呼ばれます。

構造用に等級づけられた製品

構造用製品

画像ヘム/ファーは、多様なサイズ、長さで生産され、国際市場の構造的使用に応えます。日本に向けて生産、出荷されているヘム/ファー構造材の大部分は、日本の在来軸組工法用の柱、そして耐水処理を施した土台です。アメリカの製材所で、標準的な90mm×90mm(3.54インチ)または105mm×105mm(4.134インチ)のサイズ、および標準的な3m(10フィート)と4m(13フィート)の長さで製材します。比較的小さなヘム/ファー材(45mm×45mm)は屋根の垂木として使用されます。窯で乾燥されたヘム/ファーの板材は接着して、メートル寸法の集成柱を作るのにしばしば使われます。メートル寸法を持つヘム/ファー材はヨーロッパ、南米、太平洋沿岸諸国の市場に向けても生産されています。
ヘム/ファーの構造用製品は住宅、軽量商業建物、大がかりな建設物等の構造枠組みの用途において性能を発揮します、その強度と硬度の組み合わせは、床システムに最適の選択であるといえます。S-DRYとKDのヘム/ファーは収縮や割れが極めて少ないので、暑く乾燥した気候や寒冷で湿度の低い気候においても、その性能を良く発揮します。これら乾燥した製品は、他の乾燥材製品にもなじみやすく、いつでも組み立てられるため、特に多層の木造建設物に適しています。
さらにヘム/ファーは、釘を打ったり、ネジで止めたりしても裂けにくいこと、釘、ネジがしっかり止まること、のこぎりを使用しても割れにくいこと、多様な種類の接着剤が使用できること、重量が比較的軽いことなどの理由で、多くの施工者に好まれています。

米国のディメンション・ティンバー

公称寸法
厚さ2~4インチ×巾2~4インチ
(表面加工・乾燥済み - 厚さ38~89mm×巾38~89mm)
(表面加工済み・未乾燥 - 厚さ40~90mm×巾40~90mm)
軽量枠組構造材
最も強度を要する設計・加工システム、トラス、積層材、多層プロジェクトに適しています。
軽量枠組材
壁枠組、上枠、下枠、ころび止め、ブロッキングなど一般的な枠組に適しています。
公称寸法
厚さ2~4インチ×巾2から14インチ
(表面加工・乾燥済み – 厚さ38~89mm×巾38~337mm)
(表面加工済み・未乾燥 – 厚さ40~90mm×巾40~343mm)
スタッド級(たて枠組)
垂直の使用のみを意図した、壁の枠組に理想的な部材。
公称寸法
厚さ2~4インチ×巾5インチ以上
(表面加工・乾燥済み - 厚さ38~89mm×巾38~337mm)
(表面加工済み・未乾燥 - 厚さ40~90mm×巾127mm以上)
構造用根太および平板(ストラクチュラル・ジョイスト・アンド・プランク)等級
床、天井根太、屋根の垂木、頭つなぎ、梁、トラス、一般枠組など構造的利用に適しています。

スペシャル・ディメンション・ティンバー

機械強度規格(MSR)材 -
機械的に強度や接合能力が測定された規格で、トラスその他の設計加工材用に用いられます。ヘム/ファーのMSR材は2,400Fb‐2.0Eまでの応力レベルのものが手に入ります。
化粧材(アピアランス)製品組 -
非構造的な用途に使用される製品を、美しく洗練させたものから実用的なものに至るまで、美学的な質によって等級づけをしたものです。
構造用集成材 -
縦継ぎ材(フィンガージョイント)、巾はぎ材、積層材など。サイズと等級が同じならば、一般のディメンション・ティンバーと同じように使えます。すべての米国標準建築基準において、使用が認められています。

構造用デッキ材/床下張り用材

公称寸法
厚さ2~4インチ×巾4インチ以上
(表面加工・乾燥済みまたはMC15のみ‐厚さ38~89mm×巾89mm以上)
屋根、床に適した製品。屋外や裏庭のデッキの使用は意図しておりません。巾38、64、89mmのものがあります。さねはぎ加工(T&G)され、V型あるいは丸型の縁取りがされています。その他の標準パターンも厳しい建築的要請に応えるよう配慮されています。WWPAおよびWCLIBはそれぞれ2つの等級に関する規則を設けており、WWPAは「特選デッキング」と「商業用デッキング」、WCLIBは「特選デックス」と「商業用デックス」という規則を定めています。含水率19%(S-DRYまたはKD)あるいは15%(MC15またはKD15)で表面加工されています。「特選デッキング」/「特選デックス」等級の製品は化粧用内装天井に最適。商業用等級の製品は主に工業施設の屋根や床用に使われます。

大きなサイズ

これらの製品はS-DRYと指定される場合もありますが、未乾燥で出荷されることもしばしばあります。荒挽きのまま、あるいは4面にプレナー掛け(S4S)を施されることがあります。これらの「ヘビー・ティンバー」もまた、米国その他の標準建築基準に準拠し、優れた耐火性の等級を与えられています。表面加工を施したものは、公称寸法より1/2インチ(13mm)小さくなります。

梁および側げた
厚みが公称5インチ(公称125mm)以上、巾が厚みより2インチ(公称50mm)以上広い。
柱および大断面材
厚みが公称5×5インチ(公称125×125mm)以上、巾が厚みより2インチ(公称50mm)未満広い。

物理的および力学的特性

特性の比較”ページ参照。

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ヘム/ファーはS-DRYとKDの含水率を持つ材として手に入れることができる構造材で、その特質は高い強度と硬度です。

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オレゴン州の森林業法は、米国内において森林保護の模範とされてきました。この法律はワシントン州およびカリフォルニア州における州森林業法、アイダホ州における最上管理業法、またヘム/ファー産出地域において現在実践され進展中の森林地域管理戦略に影響を与えました。これらの進歩的な環境保護法は森林価値の多様性を育て、西部木材製品が引き続き出回ることを保証しています。

外見用に等級づけられた製品

外見目的の等級

画像外見目的で等級づけされた製品では、木にこだわる建築家やデザイナーが、天井の木の枠組を見せる場合や、化粧枠、はなかくし、パネル、化粧材、加工品などにヘム/ファーを使うことがしばしばあります。ヘム/ファーは際だった多様性と有用性から、多くの建築スタイルやデザインのテーマを引き立たせます。
インテリア・デザイナーがしばしばヘム/ファーを好むのは、その色と、光線にさらされてやけてくることに対して自然の抵抗力があるからです。確かに、どんな木でも太陽光線にさらされれば時間が経つにつれてやけてくるのですが、ヘム/ファーは多くの場合、最初の加工したてのパステル調の色を保ちます。
仕上げ大工、再加工業者、木工業者がヘム/ファーを好むのは、その他の理由があるからです。まっすぐな木目ときれいな肌理はサンディングによって絹のような光ったなめらかさを得て、割れるようなことも多くはありません。ヘム/ファーは機械、手道具にかかわらず、きれいでまっすぐな切口と正確な表面に仕上がり、どちらの道具を使うにせよ、工作が容易です。木は止め金をしっかりくわえ、接着剤を使用することにも問題はありません。透明な塗料、透明ラッカー、ニス、オイル、ワックスからあらゆる種類のステイン、明色、淡色の塗料、ペンキに至るまで、仕上げ塗装を良<受け付けます。
工事前に現場の空気に順化させてあれば、MC15またはKD15のヘム/ファー製品は、縮み、膨らみ、たわみ、ゆがみ、曲り、ねじれなどを起こすことが抑えられ、形とサイズを保ちます。その美観上の特質に加えて、ヘム/ファーは断熱性にも優れています。その伝熱係数、つまりKの値が12%の含水率で25mmあたリの厚さにつき0.89BTUであリ、断熱性の最も高い樹種の1つです。
ヘム/ファーには節無し、またはほとんど節無しの製品があり、西部地域の長期輪作の商業用森林地から産出されます。最高級の等級には「クリア」(輸出「R」リストの規則)、「インダストリアル・クリア」と「フィニッシュ」(WCLIBの規則)、そして「セレクト」(WWRAの規則)などがあります。これらは柾目、板目のどちらでも指定できます。木目のパターンが指定されていない場合は、柾目、板目が混じった形で出荷されます。
一般的に、ヘム/ファーの節のある部材は、できる限り構造的部材に製造されます。しかし、ヘム/ファーの節のある外見目的の等級材も何種類か生産されています。これらの製品は、S-GRNあるいはS-DRYとして生産、出荷されますが、その比率はおよそ半々です。これらは、洗練された内装に使用するよりもむしろ一般的な建設用に使われることを意図しています。一般目的の節のある外見目的の等級のヘム/ファー材は、「ボード」(WCLIBの規則)、「コモン」(WWPAの規則)および「マーチャンタブル」(輸出「R」リストの規則)の等級に製造されるのが普通です。節のある高等級の木材は、主に住宅および軽量商業建物において、したば、はなかくし、棚材など、しっかりと亀裂のない節が好まれる場所に使用されます。よリ低い等級の節のある木材は、下張り床、屋根、壁下地、筋交いなどの一般建設目的、または経済的に節約することが基本的に求められている場合に使用されます。

パネリング

ヘム/ファーの節無し、またはほとんど節無しのパネル製品は、はっとするような柔らかい輝きを伝統的、現代的住宅の天丼、壁パネルに与え、また居間、客間、仕事部屋、寝室、台所には微妙で洗練された雰囲気を与えます。ヘム/ファーはアメリカの火焔広がり係数が73なので、クラス2(またはB)の建設材としての資格があります。そこで、劇場、ショッピング・センター、レストランなどの商業建造物におけるパネル材として指定されることが多いのです。ヘム/ファーは均質な色調、輝き、硬さを好む北ヨーロッパの人々の間でも、人気の高いパネル材です。
パターンのある製品は皆そうですが、無垢の木のパネル製品は、前述の通り、そのもとになる外見目的の等級の等級を反映し、許容しうる特質あるいは欠点項目についても、類似の要求に厳格に従っています。大部分のヘム/ファーのパネル製品は、非常に美しい、節無し、またはほとんど節無しの「クリア」、「インダストリアル・クリア」、「フィニッシュ」、「セレクト」の等級材から、パターンのついた形で製材されています。西部産のパイン材にはいくつかの等級の節のあるパネル製品があって容易に入手できますが、ヘム/ファーの節のある等級材がパネル製品に再加工されることはあまり多くありません。

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ヘム/ファーの柔らかい色調は、紫外線にさらされたあとでも明るさを失いません。この樹種の組み合わせを使ったパネル製品は、実用性と優美さの両方を兼ね備えています。

再加工用および防腐加工された製品

再加工用材の「ファクトリー・アンド・ショップ」等級

画像化粧枠材、非構造的部材として使われることを目的とした材は、外見目的の等級材から製材することができます。しかし、再加工してパターンのある部材にする、またはさらに加工して特殊な木製品にするという場合は、「ファクトリー・アンド・ショップ」等級の材から選択するほうが、より経済的であると言えます。
「ファクトリー・アンド・ショップ」は、再度切られることを意図した製品を対象とする広範な木材等級グループです。この分類に属する製品は、モールディング、ドア、窓、造作建具、キャビネット、家具などに理想的です。様々なコンディションにおいて多様な接着剤と接合できる性質から、ヘム/ファーは米農務省(USDA)森林製品研究所によって針葉樹のトップグループに分類されています。
通常、特定のサイズや品質における木材一片当たりの「カッティング」数は、前もって決められています。等級づけの規則はまた、これらMC15およびKD15製品の特質と欠陥相互の間隔と数に、一定の許容限度を設けています。
その特質の独特の組み合わせのゆえに、ヘム/ファーは工場加工された木製品用に圧倒的に使われる樹種です。アメリカ西海岸では、住宅の巾木やドアの化粧枠の製造には他の樹種に比較してヘム/ファーが最も多く使用されます。ヘム/ファーは加工して鋭い細部を簡単に作り出すことができます。そのなめらかな表面と、高度な寸法上の安定性のゆえに、時が経っても外見の美しさを保ちます。
モールディングのパターンは数多く、長さにも豊富な選択肢があります。ヘム/ファーのモールディングや内装の化粧枠はとげの原因になることはあリません。また、その淡い色調もなかなかあせることがありません。ヘム/ファーの階段部材は非常にすりへりも少なく、ペンキやステイン仕上げを施すことが容易です。
「ファクトリー・アンド・ショップ」の製品は通常、製材所から再加工場へと直接、大量販売されます。等級はモールディング用材(WWPAおよびWCLIBの規則)、ショップ材(WWPAおよびWCLIBの規則)、ドア用材(WCLIBの規則)、フラッシュドア用材(WWPAの規則)、ドア抱き柱および上枠用材(WWPAの規則)、クリア(WCLIBおよびPLIB輸出「R」リストの規則)、マーチャンタブル(PLIB輸出「R」リストの規則)などがありますが、これだけとは限リません。
ヘム/ファーは厳密な正確さをもって機械加工できるので、丸みや模様をつけた蛇ばら、小さなモールディング、シャッター、ルーバー、ブラインド、装飾的化粧枠部材、ワインやコショウの棚、包丁入れ、おぼん、まな板など多くの装飾的部材として利用されます。

防腐加エされた製品

ヘム/ファーは西部産の樹種の中では、圧力注入加工によって防腐加工を施す場合に好まれる樹種です。防腐加工されたヘム/ファー製品は強度が高く、視覚的にも魅力があり、しかも経済的なことから、デッキその他の屋外用部材に適しています。接地しての使用、あるいは地中での使用に応じて、製品を防腐加工することができます。ステインを塗って、自然な色を引き立てたり、他の木材に似せたりすることも簡単です。